戯曲「Answer to You」

(「朝比奈みくるの消失」を考えてみました)

※類さんの「朝比奈みくるの消失」を受け、消失絡みのタイムパラドックスについてと時間の性質についてを考えてみた話です。

もくじ






前段:結局何が問題なのかというと

ト書き:部室にて。キョンと古泉が二人でチェスセットを片付けている。つい先ほどまで遊んでいたらしい。部室に余人はない。

「……なんだ、この『ト書き』って」
「ああ、いきなりそこにつっこみますか。今回は戯曲形式だそうですので、状況説明だそうですよ」
「しかもなんだその投げっぱなしでぶっちゃけた説明は!」
「そうは言っても他に説明のしようがないですから。それに、ここに拘泥すると話が進みません。空気を読んでください」
「空……このやろ、なんだその上から目線。後で覚えてろよ」

「……まあしょうがねえからそれはそれとして、だ。未だに分からんことがあるんだが」
「なんでしょうか。先ほどのチェスの指し手ですか?」
「バカ。……いや確かにお前がなんであそこでああ指したのかは未だに理解できんがな。それについちゃもう諦めてるし頭を悩ませるほどの問題じゃない」
「傷つきますねえ。こう見えて日々精進してはいるのですが」

「だからそうじゃなくて、ほら。例の。長門が12月18日からさかのぼって1年前までを改変しただろ」
「正確には365日間ですね。出典は『消失』191ページです」
「だからメタ要素をさらっと……あー、いい。それでだ。長門が改変した期間の中に、7月7日が含まれるよな。『笹の葉ラプソディ』の」
「おや、もう開き直ったんですか。メタフィクション要素を嘆いた同じ発言の中で。あなたのその適応力の高さ、僕は尊敬していますよ」
「うるさい黙れ話の腰を折るな」

「……でだ、俺たちは7月7日に時間跳躍して3年前の七夕に行っただろうが」
「ええ、それがきっかけで、時空改変から復帰できる道筋がついたんでしょう。消失の筋立ての根幹にも関わるエピソードじゃないですか」
「そうだな。根幹にかかわるんだよ。……あそこで発生してるタイムパラドックスがあるだろ」

「……ああ。つまり、類さんの『朝比奈みくるの消失』の件なんですね?」
「お前……。もう何でもありだな」
「直球で話題に出した方が話が早いですから。メタ視点を持ち出せることの利点ですね。……あの絵で取り上げられている疑問点が気になっているんですか?」
「……まあ、そうだ」

(『朝比奈みくるの消失』より補足しつつ引用)
 1.A(元からいた朝比奈さん)はどこへいった?(消えた?)
 2.何が起きた?(起きない?)
 おまけ.(A’(重複して存在した朝比奈さん)は)冷凍みくる→長門が無力化した時点で解凍?みくる?(8ヶ月分年を取ってしまう?)

「もし僕がこれに解説を交えないで回答しますと」
「おお、めずらしいな。くどいばっかりの解説が身上のお前が」
「どうとでも仰ってください。
 1への回答は、『消えた』。
 2への回答は、『長門さんの改変範囲内に含まれない出来事はすべて起きた』。
 おまけへの回答は『1に同じく。つまりA’は解凍みくるとなることなく消えた』。
 以上です」

「……待て。なんだそれは。説明を要求する」
「おや、僕の解説はくどいだけなのでしょう?」
「根にもってやがる……ああもう分かった悪かった降参だ。ちゃんと解説してくれ」

「ふむ、ではまず問題点を整理して、簡潔に文章化してみましょう」

問1:
 『涼宮ハルヒの消失』で起こった時空改変の際、同じ時間平面上に2人いた朝比奈さん(A:初めからいた朝比奈さん、A’:笹の葉で時間遡行して帰れなくなった朝比奈さん)はそれぞれどこへ行き、どうなったのか?
 そして改変後に現れた朝比奈さん(A’’:いわゆる消失朝比奈さん)との関係は?


問2:
 時空改変を受けて起きたこと、起きなかったことは何?それはなぜ?
 (特に、朝比奈さんが一般人化したことで『7月7日に3年前へ向けて時間跳躍したこと』は消えたはず。なのに『3年前にキョンと朝比奈さんが来た』ことが残って、『消失』のキョンがそれを目撃できたのはなぜか)


1.『朝比奈みくる役』の消失
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